【ネタバレなし】映画『教皇選挙』感想レビュー|密室で繰り広げられる究極の心理戦!

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2025年に公開された話題の映画『教皇選挙』(原題:『Conclave』)。上映期間中にローマ教皇フランシスコが亡くなり、偶然にも実際のバチカンで本作の題材と同じコンクラーベが行われるという奇遇が話題を呼び、注目を集めました。第97回アカデミー賞で主演男優賞など計8部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した本作は、ただの宗教映画ではありません。
バチカンという神聖な場所を舞台に、新しいローマ教皇を選ぶ「コンクラーベ」の裏側を描いた、緊張感溢れるミステリー・サスペンスです。

宗教や歴史の専門知識がないと楽しめないのでは…と不安に感じる方もいるでしょう。しかし映画の中で必要な情報は自然に説明されるので、予備知識なしでも安心して楽しめます。

目次

基本情報

  • 公開年:2024年 (日本:2025年)
  • 原題:『Conclave』
  • 監督:エドワード・ベルガー
  • 脚本:ピーター・ストローハン
  • 原作:ロバート・ハリス(『Conclave』)
  • ジャンル:ミステリー
  • 上映時間:120分
  • 配給:フォーカス・フィーチャーズ、ブラック・ベア・ピクチャーズ、キノフィルムズ

『教皇選挙』を視聴できる動画配信サービス

本作は Amazon Prime で見放題で視聴可能です。

※情報は2025年9月時点のものです。配信状況は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトで確認してください。

あらすじ

カトリック教会(全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派)の最高指導者であり、バチカン市国の元首でもあるローマ教皇が、死去した。悲しみに暮れる間もなく、ローマ教皇庁首席枢機卿のトマス・ローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は新たな教皇を選出するための「コンクラーベ(教皇選挙)」を執り行うことになります。

世界各地から100人以上の枢機卿たち(教皇候補者)が集まり、システィーナ礼拝堂の扉の向こうで極秘の投票が始まります。外部との連絡を完全に絶たれた密室で、枢機卿たちが投票を繰り返す中、次第に明らかになる陰謀と駆け引き、そしてある衝撃的な秘密が待ち受けていました。

個人的評価:★★★★★(5.0/5.0)

個人的な評価は満点の5.0点です。映像、音楽、そしてベテラン俳優陣の重厚な演技が素晴らしいの一言。地味な内容なのかなという当初の予想は見事に裏切られ、ぐいぐい惹き込まれるストーリー展開と衝撃のサプライズに、良い意味で鳥肌が立ちました。

主要キャスト(キャラクター)

  • レイフ・ファインズ (トマス・ローレンス枢機卿) ローマ教皇庁首席枢機卿
  • スタンリー・トゥッチ (アルド・ベリーニ枢機卿) ローレンスの友人。リベラル派の最先鋒
  • ジョン・リスゴー (ジョセフ・トランブレ枢機卿) 穏健派
  • セルジオ・カステリット (ゴッフレード・テデスコ枢機卿) 保守派で伝統主義者
  • ルシアン・ムサマティ (ジョシュア・アデイエミ枢機卿) 史上初となるアフリカ系教皇の座を狙っている
  • カルロス・ディエス (ヴィンセント・ベニテス枢機卿) コンクラーベ直前に現れた枢機卿

【見どころ6選】映画『教皇選挙』がただの宗教映画ではない理由

1.密室劇としての完成度の高さ

選挙が行われるシスティーナ礼拝堂は、外部からの介入や圧力から徹底的に隔絶された空間。そこに集められた枢機卿たちは、外部の声に左右されることなく、己の良心と判断で新しい教皇を選ばなければなりません。限られた空間で繰り広げられる心理戦は、観る者の息をつかせません。閉鎖的な環境だからこそ生まれる緊張感と、徐々に明かされる真実のバランスが絶妙です。

2.リアリティ溢れる政治ドラマ

聖職者というより、もはやエリート政治家たちの権力争い!泥臭い人間ドラマに引き込まれました。投票を重ねるたびに目まぐるしく変わる情勢が描かれており、まさに現代政治の縮図を見ているかのよう。そこにはそれぞれの枢機卿が持つ個性、野心、信念、そして何よりも「人間」としての葛藤が渦巻いています。

3.人間臭さと信念のせめぎ合い

純粋に信仰を守ろうとする者、教会改革への情熱を燃やす者、そして権力欲に囚われている者…。この映画は、宗教的な儀式や歴史の解説に終始するのではなく、一人ひとりの枢機卿の心の機微を丁寧に描き出しています。彼らが抱える人間らしい弱さや強さ、そしてそれぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は予測不能な方向へと進んでいきます。

4.社会的・宗教的テーマの深さ

本作は単なるサスペンスではなく、現代のカトリック教会が抱える問題にも鋭く切り込んでいます。たとえば、保守派とリベラル派の対立、女性の地位(教皇や枢機卿になれない現実)教会の透明性や改革の必要性など、現実の教会が抱える問題と重なるテーマが随所に描かれています。

5.美術と映像表現の圧倒的リアリティ

実際のバチカンを彷彿とさせる荘厳で美しい映像も本作の大きな魅力です。本物のシスティーナ礼拝堂は撮影禁止ですが、映画では驚くほど精巧なセットが組まれています。壁画「最後の審判」や荘厳な空気感まで再現されており、まるで本物の礼拝堂に入り込んだような錯覚を覚えます。
カメラワークも計算され尽くされており、登場人物たちの一挙手一投足に視線が釘付けになる演出が光ります。さらに照明の使い方も巧みで、静かな会話シーンですら緊張感をはらみ、まるで観客自身がその場に立ち会っているような臨場感を味わえます。美術や建築に興味がある方にも、ぜひ注目してほしいポイントです。

6.豪華キャスト陣の圧巻の演技

主演は「ハリー・ポッター」シリーズのレイフ・ファインズ(ローレンス枢機卿)。『プラダを着た悪魔』のスタンリー・トゥッチ、『スキャンダル』のジョン・リスゴーらが脇を固める豪華キャスト。それぞれの枢機卿が持つ複雑な背景や動機を、ベテラン俳優たちが見事に演じ分けています。役者同士の静かな“演技の駆け引き”は、見どころの一つといえるでしょう。特にレイフ・ファインズの、重責を背負いながらも真実を追求する枢機卿役は圧巻です。

こんな人におすすめ

・ミステリー・サスペンスが好きな人
・密室劇や心理戦が好きな人
・社会派ドラマや政治的テーマに興味がある人
・美術・建築・宗教文化に興味がある人

まとめ

脚本家が映画『裏切りのサーカス』と同じであること、レイフ・ファインズやスタンリー・トゥッチが出演しているという点で興味を持ちました。ただ、密室で行われる選挙の話ということで、地味で途中で飽きるかもしれないと思っていましたが完全に杞憂でした。最初から最後までさまざまな出来事やハプニングが起き、あっという間の120分でした。興味がある方は、できるかぎりネタバレを避けてぜひご覧ください!

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この記事を書いた人

ウサダのアバター ウサダ 運営者

名前:ウサダ
映画好きで映画の感想を書いています。(主に洋画)
次に観る映画を選ぶ参考になれば嬉しいです。
好きな俳優はコリン・ファース。
夢は英国旅行。できればロンドン。

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